私の通い慣れた本屋。休日の前には、ここに立ち寄って、恋愛マンガを借りるのがお決まりコースだ。そして、休日はもっぱらマンガを読み、1日家で過ごす。あぁ、なんて最高なんだ。自由って素晴らしい。
お目当てのマンガを見つけ、カゴに放り込むように入れる。
レジへと向かう途中、背丈が私と同じぐらいのキラキラ女子とすれ違った。
すれ違いざまに、ふわっとフローラルの香りが私の鼻腔をくすぐる。思わず振り返り、彼女を見つめた。
私より若く見えるその彼女の髪は、ゆるい巻き髪で、まるでスキップするかのように軽やかに揺れる。艶があり、つい触れたくなるほど美しいロングヘアだ。肌はきめ細かく、眩しいぐらいの透明感。ファッションもおしゃれで、私とは大違い。
彼女は、ある雑誌を手に取って眺めた。そこへ、スーツを着こなす爽やかな男性がやって来て彼女に声をかける。それから2人で仲良さそうに、腕を組みながら店を出て行った。
2人の後ろ姿を見届けた後、私は、手にしているカゴの中身を見ながら呆然と立ち尽くした。
私は一体、何をしているんだろう。この差はなんだ。
先ほどまで最高だと思っていた休日が、急に虚しく、恥ずかしささえ感じた。
雑誌なんて読まない私だが、彼女が手に取って眺めていたものがどんなものか、見てみたいと思った。その雑誌には、偶然にも結婚の特集ページが載っており、私はそのページを貪るように読んだ。
男性が結婚したい職業No.1は——、看護師⁉︎ 絶対ウソだよ。そんなに世の男性から需要があるなら、なぜ私は、今ここに1人虚しくいるのだ?
恋したい気持ちはある。でも、恋を始めるのが面倒……、いや、むしろどうやって始めたら良いのかも忘れてしまった。
私の運命の人は、一体どこにいるのか?
これは、彼氏いない歴10年のアラサー干物女が、本物の恋を手にするため、素敵女子に転身していく話だ。