私が躊躇していると「静香は誰かのものか」と私をじっと見つめた。

誰かのもの?私は誰のものでもないけど、強いて言えば、あなたがファーストキスの相手ですって言いたかった、ファーストキスの相手と結婚するってずっと思っていた。

「返事はゆっくりで構わないけど、誰かのものにならないでくれ」

私は返事が出来ないでいた。

「静香、今晩食事行こう、もう絶対に静香がいいって言うまで、キスしたり、抱きしめたりしないと約束するから」

「仕事中ですから、もう経理部に戻りますよ」

静香は会議室を後にした。

俺は仕方なく静香の後を追って、経理部に戻った。

昼休み経理部の部長に食事に誘われた。

「おい、真壁、昼食付き合え」

「はい」

俺は経理部の本郷部長と食事に出かけた。

「好きなもの頼め」

「ありがとうございます」
「なあ、お前、倉田にアタックしているようだが、本気か?」

「はい、本気です、結婚したいと思っています」

「なんだ、もう付き合いが始まってるのか?」