「この間、不動産屋が訪ねてきて、どの位の店舗をお望みでしょうかって」

「とにかく、ホストクラブをオープンさせるために店舗探ししてないよ」

「早く仕事行けよ」

「わかりました、麻生さんを信じていますから」

ヒカルは渋々仕事に出かけた。

まさかヒカルのところに不動産屋が訪ねてくるとは大誤算だった。

ヒカルには言っておくべきだったかなと考えを巡らせていた。

その時、あゆみが口を開いた。

「私は凌がホストのお仕事をする事に賛成ですよ、でもヒカルくんと一緒には出来ないんですか」

「あゆみ、俺は夜の世界に戻るつもりはない」

あゆみは納得していない表情を見せた。

この時はあゆみの表情になんの違和感も感じなかった。

俺は店舗探しの傍ら、花屋のノウハウを学ぶ為、ホストクラブ時代の常連客だった女性に連絡を取った。

フラワーアレンジメント蘭の女社長、真壁 蘭子だ。

「どうしたの?凌、夜の世界に戻ったの?」

「戻らねえよ、ちょっと蘭に相談あるんだけど」