「そんな事ないと思いますよ、男は惚れた女のために無理する生き物ですから」

「でも……」

その頃俺は店舗探しに必死だった。

「麻生社長、新たにホストクラブオープンですか」

知り合いの不動産屋に相談するとそんな事ばかり言われる。
「いや、花屋の店舗を探してるんだ」

「はい?花屋ですか?」

その度に驚かれる、それはそうだろう、俺をはホスト業界では知らない奴はいないからな。

そのうちに俺が新たなホストクラブをオープンすると言う噂が流れ始めた。

夕方、俺のマンションのインターホンが鳴った。

「麻生さん、どう言う事ですか?」

「なんだよ、藪から棒に」

「新しい店出すって本当ですか」

「はあ?なんだそれ」

ヒカルには何も話していなかったため、ヒカルのところに問い合わせが殺到したみたいだ。
「麻生さんが新たなホストクラブをオープンさせる、そのため店舗を探してるって」

「誤解だよ、俺は夜の世界から抜けたんだ」