「唐揚げとサラダです」

「やったあ」

そこへ思った通り、ある人物がインターホンを鳴らした。

「はい」

「社長、ヒカルです」

「どうぞ」
「社長、聞いて下さいよ」

ヒカルは源氏名を漢字から片仮名に変えた。

「俺はもう社長じゃない」

「あっ、えっと、麻生さん」

「どうしたんだ」

ヒカルはグチをこぼし始めた。

「俺って魅力ないんですか」

「そんな事ないよ、No.2だったんだからな」

「麻生さんの常連さん、皆優しいんですけど、俺には魅力感じないって言うんです」

ヒカルは項垂れた。

「一生懸命麻生さんの真似して頑張ってるのに、全然響かないって言われちゃって、ショックですよ」

その時、ずっと黙っていたあゆみが口を開いた。

「ヒカルくん、凌の真似するんじゃなくて、ヒカルくんのいいところいっぱいあるから、そこを押してみたらどうかしら」

「そうだよ、お前の魅力は俺の真似じゃなく他にあるんだからな」