目を閉じると、脳裏に色々な場面がフラッシュバックした。
目を静かに開ける、目の前にいる女性の記憶が蘇って来た。

「あゆみ」

俺の声にあゆみは一杯の涙が溢れて泣き出した。
震えるあゆみの肩を抱き寄せて、キスをした。

しばらくあゆみは泣き止まなかった。
相当なショックを与えてしまったようだ。
この時俺は、あゆみとの別れを決意した。



俺はホストクラブのリニューアルを計画していた。

経営も順調で、売上も上々だ。
ただ一つ違う点は、俺の側にあゆみはいない。
そう、あゆみとは一年前に別れたのである。
そして、現在、俺の記憶にあゆみはいない。

朝目覚めると、隣で眠っているあゆみを認識出来ない。
頭の中が真っ白になるのである。
また頭痛が酷く、手の震えが止まらなくなる。

激しい頭痛との葛藤の末、眠りにつく。
あゆみはそんな俺を見て、毎回手を握り、抱きしめてくれた。
その度に、涙を流し、あゆみも自分の処理しきれない気持ちとの葛藤に苦しんでいた。