「ダメでしょ。通路に置いとくなんて」


「ごめんね、つい癖で」


アンナは頭をかいてゆりえに向けて謝っている。


その頬は少し赤く染まっていて、ゆりえへ向けてのあこがれが見え隠れしている。


「典子も謝ってるみたいだし、もういいんじゃないの?」


ゆりえにそう言われてアンナはちらりと典子へ視線を向けた。


典子は一瞬ビクリと体を震わせてゆりえの後ろに隠れるように身を引いた。


「そうだね。私も悪かったし、もういいよ」


アンナがため息交じりにそう言うと、典子はホッとしたように頬を緩めた。


「それじゃ掃除は3人でやって、仲直りして終わり。いい?」


「わかった」


ゆりえの言葉にアンナも典子も頷いている。


さすがゆりえだ。


私はこんな子とクラスで一番中がいいことを誇りに感じていたのだった。