それでも美奈は真剣な表情で「どうしてゆりえじゃないの?」と質問を重ねた。


「ゆりえは親友だから。それに私、恋愛対象が女の子ってわけじゃないから」


「でも……」


美奈は考え込むようにして黙り込んでしまった。


濡れた足元が太陽で照らされて輝いている。


そんな様子を見てどぎまぎしてしまうのは、やっぱり美奈だけだった。


「美奈が美奈だから好きになったの。だから自信を持って」


私はそう言って笑いかけると校舎へ向けて歩き出した。


本当は美奈へのイジメについて気になっていた。


でもきっと美奈なら大丈夫だ。


強く、たくましく生きていくことができる。


夏の太陽が暑くて目を細める。


私達はあと数ヶ月でこの学舎を去ることになるけれど、ここで起こった出来事は絶対に忘れない。


私は太陽へ向けてニカッと笑みを浮かべて見せて、親友の待つ教室へと急いだのだった。


END