私と会話するのはあれ以来だから、緊張しているのかもしれない。


「そっか。普通ならいいんだ」


私は笑顔になって頷いた。


足についたドロがどういう原因でついたものなのか気になったけれど、美奈が離したくないなら無理に聞くつもりはなかった。


美奈が普通だと言うのなら、それを信じる。


「じゃあね」


あんまあり長い時間一緒にいても息が詰まるかもしれないと思い、そうそうに立ち去ろうとする。


そのとき美奈が引き止めた。


「ねぇ、どうして私だったの？」


その問いかけの意味を少し考えて、好きになった相手のことだろうと思い立った。


「好きになるのに理由なんてないよね？」


どこかで聞いたことのあるセリフを口にして、少し恥ずかしくなった。