「お、女が好きなことに変わりないじゃん」


ジュリが一生懸命に頭を働かせて罵声を浴びせる。


だけど私には全然効果がなかった。


「それは違う。私は今まで女の子を好きになったことはなかったから。だから私は美奈だから好きになったの」


「それって、私が王子様キャラだからみんなに好かれているのと同じだね」


ゆりえがそう言って優しく微笑んだ。


その笑みに釣れられて私も笑う。


「似てるかもね」


そう言って笑いあうとアンナとジュリの表情が歪んだ。


今にもなにか怒鳴り返してきそうだったけれど、今の私達になにを言っても無駄だと思ったのか、舌打ちを残して教室を出ていってしまった。


ふたりの後ろ姿を見送りホッと息を吐き出す。


「ちょっとびびってたでしょ」


ゆりえに肩をつつかれてそう言われ、私は「びびってないし」とムキになって答えたのだった。