「とにかくさ、ここ、掃除してくんない?」


ジュリがゴミが散乱した床を指差す。


私とゆりえは目を見交わせて小さく頷きあった。


「それは自分たちでやって。汚したのは自分たちでしょう?」


言ったのはゆりえではなく、私だった。


今までゆりえの影に隠れるようにして過ごしてきた私の言葉に、ふたりは目を見開く。


「ナメてんじゃねぇぞ!」


アンナが顔を真赤にして怒鳴ってくる。


その迫力に負けてしまいそうになるが、どうにか視線をそらすことなく睨み返すことができた。


「確かに私は美奈のことが好きで告白した。だけど安心して、美奈以外の人間を好きなわけじゃないから」


キッパリと言い切ると教室内の空気が凍りつくのを感じた。


誰もなにも言わない。


傍観して笑っていた生徒たちは私から視線をそらせた。