昔なにかあったのかもしれない。


それことゆりえのように誰にでも平等に、トラブルは率先して解決していたのかもしれない。


そこで自分が巻き込まれるようなことがあり、なにもかもが嫌になったんだ。


「私と紗季はこれ以上あんたを恨んだりしない。ちゃんと謝ってくれれば」


そう言ってゆりえがこちらへ視線を向ける。


私は大きく頷いた。


もともと私は美奈のことが好きだった。


こんなことをされても、まだ心のどこかで好きな気持は残っている。


だからきっと美奈を恨み続けることはできないだろう。


美奈はそんな私たちの反応を見て、渋々と言った様子で居住まいを正した。


姿勢を良くして「本当に、ごめんなさい!」と、頭を下げる。


その声に周囲の生徒たちから私語が消える。


みんななにがあったのか興味津々で見てきているけれど、美奈は深く頭を下げたままなかなかあげようとはしなかった。