キレイ……。


悩みがなくなり青春を謳歌している美奈はやっぱりキレイで、つい見惚れてしまいそうになる。


けれどそんな美奈の表情は私達を見た瞬間曇ってしまった。


目は泳ぎ、逃げ腰になってうろたえている。


「これがあなたのしたこと。今日は私だたっけれど、普段は紗季のほうがいろいろやられてる」


ゆりえはまっすぐに美奈を見つめて言う。


美奈はうつむき「ごめんなさい」と、小さくつぶやく。


その肩は震えていて泣いているのがわかった。


「ゆりえ、私はもう大丈夫だから」


「ダメだよ。どうせ嘘泣きなんでしょう?」


ゆりえに指摘されて美奈がビクリと肩を震わせた。


ゆるゆると上げた顔には、涙の痕はない。


「ついでに聞くけど、トイレで襲われそうになったって噂を流したのはあんた?」