咄嗟に立ち上がろうとするが、抑えられてしまって助けることもできない。


アンナたちの笑い声が教室内に響き渡る。


だから言ったのに。


私と一緒にいたらダメだって、言ったのに!


一番の親友が目の前でイジメられているのに、私はなにもできない。


声をかけることもできない。


悔しくて悲しくて情けなくて、涙が頬を流れ落ちた。


「ごめんゆりえ、ごめん!」


私にはこんな風に泣きながら謝ることしかできない。


こんな親友でごめん……!


「謝るのは紗季じゃないでしょ」


穏やかな声でゆりえが言い、アンナたちから笑い声が消え去った。


ゴミをひっくり返された後でこんなに冷静でいられるなんて、思ってもいないことだった。


しかもゆりえの口元はかすかに微笑んでいる。