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「なんかいいことあった?」


教室に戻ってきた私にそう質問してきたのは渡辺ゆりえだった。


ゆりえは背が高く、スポーツ万能で、髪を短くカットしているため女子校内での王子様敵ポジションにいる生徒だ。


クラス内では私と一番仲がいいけれど、とくにどこかのグループに属するようなこともなく、クラス全体と仲良くしている。


「どうしてわかるの?」


「紗季はすぐに顔に出るから」


そう言われて両手で自分の頬を包み込んでみる。


知らない間に頬がニヤけてしまっていたのかもしれない。


自分の頬を両手でむにむにともんでいると、教室内に「お前が買ってこいよ!!」という怒号にも似た声が響いて2人同時に振り向いた。


教室後方に3人の女子がいて、2人の女子が1人を取り囲むようにしている。