「……大丈夫だよ。それより、一緒にいるとゆりえまでまだからかわれるよ」


「私は平気」


ゆりえは本当になんでもないことみたいに左右に首を振って言い切った。


私はゆるく笑みを浮かべる。


私がイジメられるようになってから、確実にゆりえへの風当たりも強くなっている。


ゆりえはすでに以前みたいな王子様扱いはされなくなった。


同性愛者の親友。


もしかしてゆりえもそうなんじゃないか?


だから王子様キャラなんてやって、影では女の子を食っているんじゃないか?


そんなデタラメな噂が立っている。


「ゆりえはもう私と一緒にいない方がいいよ」


こんなことは絶対に言いたくなかったのだけれど、喉から絞り出すように言葉を発する。


「そんなのは、私が自分で決めることだから」


ゆりえならそんな風に言うと思っていた。


「これ以上一緒にいると、きっとゆりえまでイジメられるようになる」