思わず声が大きくなった。


私がこの学校に入学したのは美術部に入部することが目的だった。


毎年学生を対象としたコンテストで入賞者を出している美術部。


短大へ進むのだって、継続してこの学校の美術部に入部するためだ。


途中から芸術系の学校へ進むのにはお金がかかるから、中学時代からずっと勉強をしてきた。


そんなことも知らずにバカにされたことが悔しくて、腹が立った。


「そんなにムキになるなんて、余計に怪しいよね」


ミナミとジュリはニヤついた笑みを崩さない。


私はふたりに挟まれた状態で懸命に睨み返すことしかできなかった。


「なにしてんの」


低く、威嚇するような声が聞こえてきたのはそのときだった。


振り向くと入り口にゆりえが立っている。


ゆりえの姿を見てふたりが一瞬ひるんだのがわかった。