それでも確かに聞こえてきたトイレへと向かって早足になる。


灰色のドアに手を伸ばして「誰かいるの？」と、声をかけながら開けたそのときだった。


トイレの中には３人の生徒たちがいた。


２人は立っていて、１人は床に座り込んでしまっている。


トイレに床に座り込んでどうしたんだろう。


気分でも悪いんだろうか。


そう思ったが、違うことが一瞬でわかった。


座り込んでいる生徒は頭の先からつま先までずぶ濡れになっていて、立っている生徒の１人がホースを握り締めているのだ。


「チッ。人がきた」


「今日はこれでおしまい。こんなんで終わってよかったね」


立っていた２人組がケラケラと笑い声を上げて私の隣を通り過ぎ、トイレを出ていく。