高校卒業後の進路については、このまま女子校付属の短大へ行くつもりだ。


高校時代の成績が悪くなければエスカレーター式で入学することができる。


「あったあった」


そのまま短大へ入学しようとしている私が宿題をサボるのはご法度だ。


机の中から分厚い教科書を取り出してカバンに入れる。


ようやくこれで帰ることができると、ホッとしたときだった。


「やめて!!」


どこからかそんな悲鳴のような声が聞こえてきて顔を上げた。


今の声、どこから?


教室から出て廊下を確認してみるけれど、誰もいない。


隣のクラスを覗いてみても、もう誰も残っていなかった。


今の声は私の気のせい?


それにしてはハッキリ聞こえてきたような……。


もう少し声の主を探してみようかと立ちつくていると再び声が聞こえてきた。


それはさっきほど鮮明ではなく、くぐもったような声だ。


まるで誰かに口を塞がれて、声を遮断されているような感じ。