「ただの勘違いだとは思うんだけど」


最後にそう付け加えたけれど、ゆりえは真剣な表情で「勘違いならいいけど」とつぶやく。


「ゆりえ、なにか知ってるの?」


「知っているっていうか、噂で聞いた程度のことだけどB組はクラスメートが強いらしい」


クラスメートという言葉に思わず顔をしかめてしまう。


同じクラス内にいるのに生徒間で優越がついてしまう。


そんな差別的なことは大嫌いだった。


でも、思ってみれば自分のクラスでもアンナやジュリと言った派手な存在がいる。


彼女たちを見て怯えてしまう生徒もいる。


ゆりえがいてくれるからあの2人もおとなしくしているけれど、もしゆりえのような存在がいなければあの2人はもっともっと派手なことをしていてもおかしくない。


それこそ、おとなしい典子のような生徒がイジメにあっていてもおかしくはないのだ。


そう思うと胸の奥がモヤモヤとした気持ちになった。


「そのターゲットになってなければいいけど」


ゆりえが、ぽつりとつぶやいた。