4人きょうだいの僕。
みんな大好きで仲良しな家族だけど
やっぱり小さい頃は喧嘩もするし
我慢することだってあって、1人っこが良かったと思ったこともあった。

けど、4人いてよかったと思うこともあって。

10年前の母の日のお話。
4人でお小遣いを出し合って、バラを買った。
話し合って赤と白のバラにした。
美味しそうだねー!なんて笑い合いながら家に持って帰る。

母は「5人目の子供だー」と言って嬉しそうに笑い、庭に植えた。

母は本当に子供のように花を可愛がった。

あれから10年。大きくなった4人。
家から出ているきょうだいもいるため、
久しぶりに家族が揃った。
みんなそれぞれ自分のお金でプレゼントを持って集まった。

相談した訳でもないのにみんなの手にはばらの花が握られていた。色は赤と白。

「…あれから10年経ったから。10年もバラを大切にしてくれてありがとう。」

みんなで笑っていると母の目から涙が流れた。

「君たちのお母さんになれて幸せだなあってね、あの花にお水をあげるときいつも思うの。」

あの花に水をあげるとき。
10年間毎日そんなことを思ってくれてたのか。
って思ったら僕の目からも涙がこぼれた。
みんなでしばらく泣いたあと花を植えた。

「幸せが増えた」と母は笑う。

「幸せ」の意味を改めて知った1日。

みんなと家族になれてよかった。