お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚

えっ?、剣崎の声が聞こえた気がした。

僕は当たりを見回した。

誰もいない、それはそうだろう、まさかな。

「戸倉、こっちだよ」

僕が振り向くと、そこには剣崎が立っていた。

「剣崎」

「結婚した事は玲子の本心じゃないってわかってるだろう」

「それはそうだが……」

「ずっと守ってやってくれ、お前しかいない」

僕は下を向いて考えていた。

決心して顔を上げると、剣崎の姿はなかった。

「剣崎」

僕は大声で剣崎を呼んだ。

でも、それ以来、剣崎は現れる事はなかった。

わかったよ、玲子を守って行く。

まずは医者にならないと話にならないな。

僕は猛勉強をしてトップの成績で、卒業した。

その間にも、玲子には頻繁に連絡をした。

案の定、玲子には笑顔がない。

ご主人とは形だけの夫婦の様子だった。

ある日の夜、急に玲子が僕のマンションにやって来た。

「戸倉くん、私……」

玲子は急に泣き出した。

「どうしたんだ、玲子、何があったんだ?」