《戸倉、お前がこの手紙を読んでいると言う事は、俺はもうこの世にはいないって事だな、俺は癌に蝕まれている、もう前から余命宣告されていたんだ、情けないよ、医者を目指している俺が、病に勝てないなんてな、これも俺の運命だと思って諦めるしかないんだが、ただ一つ玲子の事が気がかりだ、お前も気づいていたと思うが、俺と玲子は付き合っていた、お互い、 背負っているものが大きすぎて、結婚は出来ないんだが、それでも一緒にいようって決めた、しかし、俺は一緒にいてやれない、戸倉、玲子を頼む》

剣崎は自分の命の炎が消えていくことをわかっていたんだ。

それでこの手紙を僕宛に残したんだな。

そう言えば、いつも三人で過ごした時間が多かったような気がする。

僕は嬉しかったが、以前玲子に相談されたことがあった。

「戸倉くん、私ね、剣崎くんと付き合ってるんだ」

僕はその時心臓が飛び出るんじゃないかと思う位驚いた。

僕はおじゃま虫だったと言うわけかと落ち込んだ。