屋上を出ると、わたしはすぐに梨子ちゃんに連絡をした。

梨子ちゃんはわたしの親友。小学校のころから一緒で、いわゆる幼なじみ。

梨子ちゃんは同姓のわたしから見てもとてもかわいらしい。小動物的な愛らしさがある。わたしとは正反対のモテるタイプの女子。

そんな梨子ちゃんは今日は学校を休んでいる。数日前から体調をくずしてるみたい。

だからわたしはアプリでメッセージを送った。他に相談できるような友達はいなかったし、いますぐにこの気持ちを誰かに伝えないと胸が爆発してしまいそうだったから。

その梨子ちゃんが通学路に立っているのを見て、わたしは驚いて立ち止まった。
家で寝ているはずの梨子ちゃんが目の前にいる。私服姿でこちらへと歩いてくる。

「梨子ちゃん、どうしたの?」
「心配だから、来ちゃった」

梨子ちゃんの顔色はよくなかった。なんていうか全体的にどんよりとしていて、艶みたいなものがなかった。
やっぱり、体調はよくないみたい。髪の毛もちゃんとセットされていなくて、慌てて家を出てきたことがわかった。

わたしは申し訳ない気持ちで一杯になった。あんな相談、しなければよかったって。

「わざわざ会いに来なくてもよかったんだよ。メッセージを送ってくれれば充分だったのに」

「どうしてもね、気になったから、直接話したいなって思ったの」

「体のほうは大丈夫なの?」

「うん、なんとかね」

「じゃあ、学校はもう来ることできるの?」

梨子ちゃんは難しそうな顔で首を振った。

「それはわからない。まだ食欲とかは出ないから」

「そう。あまり無理しないでよ。今度お見舞いに行くから」