負荷のかかるものならなんでもいいと言われている。例えば同級生からいじめを受けるとか、足が片方使えないとか。

 あなたのコンプレックスを選んでください、メールにはそのように記されている。その下には空白があって、そこに自分で経験をしたいコンプレックスを入力する。

 この通知がいつ来るのかは、人によって違うと言われている。中学生か高校生のいつかで、個人差がかなりある。

 コンプレックスプランを無視することも可能ではある。でもそれは、その後の人生に悪い意味で大きな影響を与えてしまう。

 実際に、就職活動では、どんな学校を出たかというよりも、どんなコンプレックスを乗り越えたのかが重要になると言われている。何もしなければ、その時点で大手の会社からは弾かれるという噂もある。

 だから、ほとんどの学生はコンプレックスプランを選択する。簡単なものを選ぶ人が多いとは言われているけど、わたしはそうはいかない。

 わたしは篠崎家の本当の子供じゃない。だから将来、おじさんとおばさんに迷惑をかけるようなことだけはしたくないと思っている。

 少しでも良い会社に入って自分ひとりでも生活をできるようになって、お金を返していきたいと考えている。

 そうなると、ある程度負担の大きなものを選ばないといけない。

 コンプレックスは永遠に続くわけじゃない。どんなに長くても学生時代には終了する。

 短い人は数週間、長くても数ヵ月と言われている。確かなのは選んだコンプレックスの期間は自分で知ることはできないということ。

 コンプレックスプランであることを、誰かに話してはいけないことになっている。そんなことをするとコンプレックスプランは中断されて、試練は失敗扱いになってしまう。