いたずらか何かかな、なんて疑ったりもしたけれど、ちらりと見た橘先輩の目は真剣そのもので、わたしをからかっているようには見えなかった。

そもそもわたしを騙す理由なんてない。三年生には知り合いはいないし、そんなに暇じゃないだろうから。

聞き間違いかなにかかな? 好きだ、付き合ってほしい。
シンプルな言葉だから間違いようもないとは思うんだけど、一応確認してみようかな。

「すいません。もう一度言ってもらえますか?」

「きみのことが好きだから付き合ってほしい、これでいいかな?」

真っ直ぐな目でそう告げてくる。橘先輩の言葉はわたしの心に直接響いてくるようだった。
間違いない。これは告白なんだ。つまり、わたしを恋人にしたいということ……。

「え、その、本気なんですか?」

「もちろんそうだよ」

そう確認しても、どうしてわたしなんかという疑問は消えなかった。もっと自分がかわいかったら素直に受け止められるけど、わたしなんかじゃ……。

「……どうしてですか?」

「ん?」

「どうしてわたしのことを好きになったんですか?」

そんな質問をするのはなんだか恥ずかしかったけど、それを聞かないと何も前には進まない気がした。
理由。そう。わたしなんかを好きになった理由が知りたい。

「ドラマの台詞じゃないけど、誰かを好きになることに理由なんて必要なのかな」

「だ、だって、わたしは先輩と会ったのは今日がはじめてなんです。いきなり告白するなんて、その、おかしいと思います」

「そうかな」