「わたしは十一時とか十二時とか、そんな感じです」

「結構遅くまで起きてるんだね」

「そうですか? 高校生なら普通だと思うんですけど」

「ぼくは十一時だともう寝てるかな。中学のときの反動もあるからさ」

反動? 中学生のときはよく夜ふかししてたってことだよね。

それが高校生になったら変わって、規則正しい生活を送るようになった……。

普通は逆だよね。高校生のほうが遊べる範囲は広がるし。なにかきっかけがあったのかな。

「受験勉強とかはしなくてもいいんですか?」

「一応、テストの成績はいいんだよね。特に難しい大学を目指すつもりもないし、実家を出られるところならどこでもいいかなと思っているんだ」

独り暮らしへの憧れはわたしにもある。
でも、実際には難しいだろうな。

いろいろとお金がかかるから、おじさんとおばさんの負担になってしまうし。

この街は交通機関はしっかりしているし、家から通えるところにも大学はある。

「篠崎さんは夜遅くまで何やってるの?」

「いろいろです。本を読んだりゲームをしたり、後はラジオを聞いたりもしますね」

「へぇ、ラジオ。いまどき珍しいね」

橘先輩がそういう反応するのもわかる。確かにラジオってあまり聞かれてないよね。

中学生のときに同じ部活の人に伝えたときも変わってるねって言われたし。言わないほうが良かったかな?