僕は何かあるのかと、不安になりながら一緒に扉を見つめてしまう。

「内田くんの迷路解いてからあっちに行こうと思っていたんだ。難しくて解けなかったけど」

「簡単に解けたら面白くないだろ」

「たしかに」

「難易度高かったかな」

「もう会えないけど、元気でいてね」
唐突にそう言われてしまいうろたえた。

「遠藤くんも」
 元気で……っていうのも変で僕は言葉に悩んでしまった。

 と、そんな時
 後ろの扉から北沢がやって来た。

「遠藤くん?」
 北沢は驚いた顔で僕たちを見て、僕たちの元に駆け寄った。どこかの懐いている小型犬のようだった。

「わぁもう会えないと思っていた。嬉しい。内田くんもどうしたの?」
 素直に言うと遠藤くんは微笑んだ。

「北沢こそ」
 急に現れた北沢に僕のほうが驚いてうろたえていた。

「内田くんに言ってたんだ」
 遠藤くんは楽しそうに北沢にそう言った。

「えっ?なんて?なんて?私にも教えて」
 ワクワク顔で北沢は嬉しそうに遠藤くんに聞くと、遠藤くんも同じ表情で北沢にアドバイスをした。

「早くどうにかしないと、北沢さんを大岸くんに取られちゃうよって」
 そう言われて僕は「はぁあぁ?」と立ち上がって大きな声を出した。

「顔が赤いよ」と遠藤くんは言い、北沢は目を丸くする。

「そんな話はしてないし」
 慌てて僕は訂正した。

「大岸くんが北沢さんを狙っているから、このままだと北沢さんが大岸くんと付き合っちゃうよって話をしていたんだ」
 そんな言葉に北沢は普通に「あーそうなんだー」と返事をする。

 あーそうなんだーって何?
 いや、そんな話はしてないし
 大岸くんってやっぱりそう?
 頭の中がグルグルしていたら、ふたりで笑って僕を見ていた。