「僕の机、新しくしてくれたの今沢くんなんだよ」

「そうなの?」
 僕は驚いた声を出す。

「うん」平然と答えて「これ難しすぎるよ」ってギブアップして僕にノートを返す。そして「僕が出てきた理由はね」と、遠藤くんは言葉を続けた。

「僕の葬式の後、みんなマック行ったよね」
 そんな告白に風に揺れていたカーテンがピタリと動きを止めた。

「ふざけて笑ってたりする人もいたけど。まぁそれはいいやって思った。だって僕の不注意でみんな葬儀に出ることになって、申し訳なかったから。でも、帰りにみんなでマック行ったり、カラオケ行く人もいて……それがなんだか……嫌だった。いや、僕が悪いんだけど。でもすごくムカついてたら、遠くに光っている明かりにたどり着けなくて、こんなんなっちゃった」

 僕も誘われてマック行った。

「ムカついたらゴミぶつけられた事も思い出して、八つ当たりだよね。ごめんね」

「それは僕たちが悪かった」

「ありがとう」

遠藤くんは小さな声を出して、ため息をついて黙ってしまった。

「光の向こう側に行けそう?」って僕が聞くと、遠藤くんは「うーん。たぶん大丈夫だと信じたい」心配そうに答えてくれた。

「遠藤くん転生したら勇者になるかも」

「内田君はリアリストに見えて中二病なんだ」

一番言われたくない相手に僕は少しムッとした顔をした。

「悪い悪い。でも僕はきっとスライムにもなれないと思うよ。みんなに変な影響うけさせて、体力を奪ってしまったし。昨日爆睡させてごめんね」
遠藤くんはそう言って、教室の後ろの扉をじっと見つめる。