「えーっと……本当にみんなごめんね」
あらためて遠藤くんは僕たちに話しかける。
「もう二度と会えないけど、今までありがとう。昨日まで笑顔を見せていた人が急にいなくなることもあるから、後悔しないで今を大切にしてほしい」
最後に僕たちにそう伝えてくれた遠藤くんは、僕たちよりはるかに大人に見えた。
そしてふっと教室の後ろの扉に目を止めて、遠藤くんは涙を流した。
「僕も家に帰るよ。お父さんありがとう」
遠藤くんの目の先には、いつの間にか遠藤くんのお父さんが立っていて、涙を流して微笑んで手を振っていた。
遠藤くんのお父さんは、直接遠藤くんの言葉が聞けたみたいだ。
「なんでお父さんだけズルい」って、お姉さんは笑ってるのか泣いているのかわからないけど、教室に入って来た時とは真逆のスッキリとした表情をしていて
僕たちの目の前に居た
遠藤くんは消えてしまった。