「お姉ちゃんの言った通り、本当に僕はバカでこんなことで命を落とすなんてバレたらネットニュースに載るくらいバカな話で……、あ、矢口くん、ごめんこんなバカな死に方したって出されるの恥ずかしいから、配信するなら上手くごまかしてくれる?」と、遠藤くんが言うと矢口は「りょーかい」とスマホを向けて返事をした。

 ずっと撮影していたのか?YouTuberってすごいな。

「家族にも周りにも、いじめられて自殺したって思われていて、くだらない死に方した自分が恥ずかしくて、嫌で、みじめで悲しくて……自分が悪いんだけど、成仏?っていうのかな……なんか遠い場所に引き寄せられる寸前で逃げたら深い穴に落ちたようになって……きっとこれが成仏できないってやつなのかな。なったことないから誰もわかんないよね」

 聞かれても、こればっかりは誰もアドバイスできない。

「僕のせいで家族を悲しませて苦しませてしまったし、誤解されたままでムカついてイラついて……つい、ごめんなさい。ほぼ八つ当たりであんな発言しました」

 その言葉にみんな「はいぃ?」「八つ当たりってなんそれ!」ってリアクションになって教室中がざわついた。

「そりゃ……多少は正直恨んでるとこもあったけど、僕にも悪いとこはあったし、本当に八つ当たりで言っただけで、だってまさかまた教室に戻ってきて、話ができるとは思ってなかったし、こんなチャンスがあるなら一度言ってみたかったセリフを言ってみようと思っただけなんだ。本当にごめんなさい。復讐なんて考えてないし、地獄に落とす方法もわからない。絶対そんな力はないから。あの嫌な音はなぜかできたけど……うーん、なんでできたんだろう。でもあれが精一杯であとは何もできません」

 一度言ってみたかったって
 本当に中二病としか言えないよ遠藤くん。

「すっごい怖かったんだよ。復讐とか恨むとか地獄に落とすとか」
「あの金属音、本当に頭が割れるかと思ったんだから!」

 度重なる苦情に遠藤くんは頭を下げてひたすら謝っていた。

「怖がらせて本当にごめん。本当のことをみんなに言って謝らないと成仏できない気がするんだ。きっと遠くから光がまたやってきて、成仏できると思う。ごめんなさい」

 そう言われると死んだ人相手にゴタゴタ言うのもなんだし、途中まで自分たちが悪くて反省してたのも事実だったので、僕たちは黙り込む。