「僕はバカな事故で死にました」

 遠藤くんは意を決したようにそう言って、教壇の奥に歩いて移動した。

 みんなはそれを目で追っていたけど、状況がわからない担任と遠藤君のお母さんはためらい、目線をどうしていいかわからずにしていた。
 お姉さんは「どうしたの?何かあった?」と、近くにいた坂井にすがって聞いていたので、坂井は「遠藤くんが本当のことを話すからって、教壇の前に動きました」と返事をすると、お母さんとお姉さんは涙を止めて顔を合わせた。

「あっ、母と姉にも説明しないといけないから面倒でごめんだけど、僕の言葉を伝えてほしい」そう言ったので、大岸くんがスッと動いて軽く手をあげてお母さんの横に動き、坂井が助かったって顔をしていた。

「諸田先生には説明しなくていいから。あまり話もしたことなかったから信頼関係もないんだ」
 申し訳なさそうに言うので、僕たちは小さく笑って納得していた。

「えっ?何?何?なんて言ったの?」
 お姉さんが大岸くんに詰め寄り、大岸くんはみんなの迷惑にならないくらいの声で遠藤くんのお母さんとお姉さんに遠藤くんの言葉を繋いだ。

 大岸くんの連携作業が上手くいきそうなのを確認してから、遠藤くんはまた話しを続ける。