9時になると校長、教頭、養護の先生、副担任、担任……その他先生たちが数人ゾロゾロと現れ僕たちの後ろに参観日のように並ぶ。
背中に圧を感じる。
「いいお供えだね」
温厚な校長先生が遠藤くんの机の上にあるプリントと、僕たちがのせた品々を見て感動していた。
本人がそこに座っているのに、まったくわからないようだ。
教室の前の扉から、いかにもカウンセラーって顔をした40代くらいの女の人が入って来た。
「感受性が強く、優しい気持ちを持ったみなさんを認めます」
笑顔でひとりひとりの顔を確認するように、澄んだ声でそう言った。
認めますって教祖様かよ……。
上から目線の最初の一言で、これはダメだとみんなで思う。
「カウンセラーより霊媒師呼べ」
今沢の言葉に多数がうなずき、担任が「静かにしろ」と声を上げた。
僕は霊媒師というワードに反応して、兄からもらった胸ポケットのお守りを指で触った。
「それ、けっこう効き目あるよ」
遠藤くんが自分の胸ポケットに手を当てて僕にこっそりそう言った。
「兄貴が今朝プリントアウトしてくれたんだ」
照れた感じで小声で言うと遠藤くんはうなずいた。
「よく調べているね。他の人も色んなの持ってきてるけど、内田くんのが一番強烈で波動を感じる」
「そうなんだ」
軽く返事をしたけど、兄が一生懸命選んでくれたと思うと嬉しかった。
「悪霊に効くからいいと思う。僕には効かないけど」
さりげなく遠藤くんはそう言い、前を向いてカウンセラーの話を聞く姿勢に戻る。
遠藤くんには効かないのか。
兄に報告しよう。