次の朝
 僕はまだ生きていた。

 遠藤くんは来なかったんだ。
 スマホを見ると、また信じられないくらいの未読LINEが並んでいる。
 絶対見ないで終わろう。
 兄に送ったLINEを見ると、既読になっていた。矢口の配信を見てくれたかな。

 大きく伸びをして部屋を出ると、足元にB5ほどの大きさの紙が置いてある。
 なんだろうと拾って見ると、火の上を踊っているようなクネクネした鬼が墨絵のようなイラストで書かれてあり、その下に修学旅行のお寺でみた梵字が書いてあった。裏にポストイットが貼ってあり、懐かしい兄の字で【護符】と書いてあった。

 昨夜の話を聞いて心配してくれたんだ。

 僕は顔をにやけさせ「ありがとう」って、兄の部屋の前で声を上げた。
 そして何となく軽やかに朝を過ごして、母親の心配そうな顔をよそに僕は学校へ向かう。

 ワイシャツの胸ポケットに折りたたんだ護符を入れて。

 最強じゃん。

 今日こそ
 復讐されて
 死ぬかもしれないけど。