『今日の小テストうんざり。先生テストどっかに落としてくれないかな』
『今日は五時間目体育かあ……六時間目起きれる自信がないなあ』
『部活出たくない、最近部内の空気むっちゃ重い』
俺は聞こえてくる声を聞こえないように、必死でスマホのボリュームを上げた。スマホには録った音楽が詰まっている。最新曲を一気に流し込み、聞こえてくる音をどうにか無視しようとしていると。
肩をポンポンと叩かれた。
「よっす。あんまり音楽にうつつ抜かしてたら、耳が悪くなるぞ」
「わっ。なんだ、相田かよ」
「なんだとはなんだ。なんだとは」
俺が背中を丸めて猫背でも、隣の高身長イケメンくんにはなんの反応もない。
『相田くん今日も格好いい』
『なんで相田くんと早川が仲良いのか訳わからん』
『イケメン陽キャとフツメン陰キャのカプか。王道だな』
女子からのやっかみが流れ込んできて、余計に気鬱になる……あとナマモノをカップリングにするのはよくないと思います。はい。
俺は肩を竦めながら、相田を見る。
「で、今日はどこの部活の助っ人に行ってたんだよ?」
「今日はサッカー部な。食中毒のせいで、部員足りないらしくってさあ。早川も行かないか?」
『今日はサッカー部な。食中毒のせいで、部員足りないらしくってさあ。早川も行かないか?』
「お前な……俺が運動神経ないのわかってて言うのかね」
「楽しいと思ったんだけどなあ」
『楽しいと思ったんだけどなあ』
俺は相変わらずあまりにも裏表のない相田の言葉に、少しだけほっとした。よくも悪くもこいつとは小学校の頃からの付き合いだけれど、今でもそこそも話せるのは、こいつがあまりにも裏表がないから、一緒にいてて楽な相手だからだ。
俺が人の心の声が聞こえると気付いたのは、小学校からだった。
人の心の声が一気に流れ込んでくると、それはそれはしんどくって、初めて聞こえるようになったときは、そのしんどさに三日三晩寝込んでしまった。
そして人の言っている声と聞こえてくる声……建前と本音が必ずしも一致しないと知ったのも、この頃だった。世の中綺麗事が好きな年頃に、真実を教えるもんじゃないと思う。
女子は幼少期から物の見事に本音と建前が一致しないということを知り、俺は女子が怖くなった。よくも悪くも心の声が聞こえるせいで、あまりにも暴言ばかり吐いているクラスのリーダー格には極力近付かなくなったし、あまりにも心の声がきつ過ぎる人間とも距離を置くようになった。
先生の声を聞けばテストの答案が上がるかもしれない。なんとか自分の心の声が聞こえる力を駆使して成績を上げようと思った頃も一時期はあったものの。
『なにかあったら学校に苦情は来るし、親から苦情は来るし、若いから大丈夫とへりくつ言って仕事押しつけられるし、私はどうして教師になったんだろう。一時間でも早く帰って睡眠時間増やしたい』
……あまりにも闇色に染まった心の声は聞くもんじゃないと思い、できる限り先生の声が聞こえないように気を遣い、なるべく先生に「ありがとうございます」と挨拶を心掛けるようになった。
こうして俺は、メキメキと陰キャ力を上げていき、見事なまでにオタクへとなっていった。
だって、アニメやマンガ、ソシャゲは心の声が聞こえないし。本音と建前にギャップがあり過ぎて幻滅することだってないし。なによりもオタクは自分にハマッているものに夢中になって、他人に対する悪口を言っている暇はないし。
そんな厄介な性格になったものだから、周りも「変な奴」認定して、俺に距離を置くようになっていったもんだ。
相田みたいに近くにいても、他人に対する悪口を言わないいい奴っていうのは、限られているんだ。
俺がチラッと女子を見ると、途端に女子は相田に視線を向ける。女子が俺を敵視するのは他でもない。相田がいつまで経っても誰とも付き合わないから、俺のせいにされているんだろう。
「つうかなあ、お前は誰かと付き合わない訳? 俺、お前が誰とも付き合わないのは俺のせいだと思われるの、ものすごく嫌なんですけど」
「そうか? 俺は早川といると楽だし、誰とも付き合う気はないけどなあ」
『誰かを選んだら、選ばれなかった子たちが喧嘩して、最悪選んだ子を傷付けるかもしれない。そんな責任を取れないようなことは、俺にはできない』
こいつ、本当に天は二物も三物も与えるよなあ……! 聖人かよ!
俺が勝手に感動して打ち震えていると、相田はにこやかに言った。
「というか、そういう早川は? 好きな子とかいないのか? お前部活に入ったし、付き合いだってあるだろ?」
『早川はいい奴だし、それがわかる女子がいたらいいのにな。なんでこいつがいい奴だと気付かないんだろうな、女子は』
「ははははは……そんな天使みたいな女子はいやしません」
そりゃこれだけ善人が過ぎる相田みたいな女子がいたらいいけれど、大概はなあ。
俺は女子の心の声が、チクチク突き刺さっていた。
『なんなの早川、相田くんに対してぞんざいな扱いしてさ』
『相田くんが付き合わないの、どう考えても早川に気を遣ってでしょ』
『このふたりのカップリングでシチュはどこがいいか……さすがに学園ものだとまんま過ぎて肖像権で訴えられるかもしれないから、世界観構築からスタートしないと』
俺、相田が誰とも付き合わないのになんも悪くないのに、すげえ言いがかり付けられてない!? あと誰だよ、俺たちで勝手に創作スタートさせようとしているのは!?
そんな訳で、俺は女子怖い、人間怖いが先に立ち、誰とも特に付き合いたいというのはなかった。どんなに可愛くても、これだけ心の声が怖かったら、誰とも付き合いたくないと思っても仕方ないだろ。
****
「今日のガチャ星5は当てる!」
『推しガチャキタァァァァ! これは当てる、マジ当てる、唸れ貯まりに貯まったコインー!!』
「いやぁ、やっぱり最推しのガチャはいいっすなあ!」
『今回のイベントとガチャは推し連チャンでなくってマジ助かった。これでイベントに集中できる』
文芸部は、文芸とは名ばかりのオタクのたまり場で、文化祭用の原稿さえ期限内に完成させれば、ソシャゲをしてようが絵を描いてようが小説を読んでいようが自由という、オタクの無法地帯と化していた。
正直オタクのなにが助かるかというと、好きなもの一辺倒になってくれているおかげで、心の声が聞こえても大概は推しキャラに対する愛情で埋まっていて、こちらが気鬱になるような他人に対する悪口が聞こえないというところだ。まあ、たまに運動部の花形に対する強烈な嫉妬が聞こえることはあるけれど、気にするほどでもない。
俺もソシャゲを適当に走る。自分も三つほど掛け持ちでやっているとは言えど、今は特に推しが活躍する期間でもないから、小遣いと相談しながら微課金で楽しんでいる……さすがに無課金でイキり散らすというのは筋違いだと思うから、程々が肝心だ。程々。
俺がぼんやりと机にもたれかかりながらスマホを触っていると。
『スタスタスタスタ』
何故が擬音が聞こえる。なんで。
俺は少しだけ驚いて、擬音を発している方向に視線を向けた。
ショートカットボブで、真新しいセーラー服がきらめいている。大きな猫目は睫毛で縁取られ、肌は真っ白で透き通っているように見える……はっきり言って、滅茶苦茶可愛い子だった。こんな子、うちの部にいたっけか。
隣で推しイベを必死で周回している奴に聞いた。
「あのさ、あの子誰?」
「へえ? C組の白石さんのことか?」
『C組は特進クラスだし、そんな賢い子がうちの部に入ってくれたのはマジ感謝っすなあ。眼福眼福』
『イエス美少女ノータッチ。可愛い子は愛でよ……マイナスイオン様にしゃべりかける勇気もないし』
「なるほど」
オタクの純朴過ぎる声に納得しつつ、俺は白石さんを眺めていた。
白石さんはスケッチブックを広げると、それに絵を描いていた。
『サラサラサラサラ』
だから、なんで擬音を心の中で言ってるの。
彼女はツンとした真剣な目で、賢明に鉛筆を動かしている。なにを描いているんだろうと、俺は少しだけ気になって、部室に使っているうちの教室のロッカーに荷物を取りに行くてらいで彼女のスケッチブックをちらりと見た。
……ものすごくメルヘンな絵柄で、今俺たちがプレイしているソシャゲのキャラの絵を描いていた。
『可愛い』
うん、たしかに可愛い。
俺はうろたえながら、白石さんを見た。白石さんはキョトンとした顔で、こちらを見た。
「なに?」
『なに?』
珍しく本音と建前が一致している子だ。そう思いながら、俺はスマホを手に取ってみた。
「白石さんもやってるの? ソシャゲ」
「わたし、ソシャゲってあんまり詳しくないけど。皆が見てる絵が可愛かったから、部誌に描きたくって練習してた」
『ソシャゲ詳しくないから、やってみたいけどどうすればいいのかわかんない』
「あ、もしよかったらやってみる?」
俺がそう声をかけると、白石さんはパァーっと頬を紅潮させて頷いた。
「うん。ありがとう」
『うん。ありがとう』
本音と建前の一致具合に噴き出しながら、俺はインストールからゲームの説明までをしてみせた。部内の皆は、驚いた顔で俺を見ていた。
「マイナスイオン様と、話をしてる……だと?」
「あれだけ冷たい声で?」
……たしかに、俺は白石さんの心の声がわかるからいいけど。
白石さんの声も態度も、全体的に淡泊が過ぎるのだ。冷たいとかクールとかに取られがちな。嘘は全く言ってないのになあ。
『今日は五時間目体育かあ……六時間目起きれる自信がないなあ』
『部活出たくない、最近部内の空気むっちゃ重い』
俺は聞こえてくる声を聞こえないように、必死でスマホのボリュームを上げた。スマホには録った音楽が詰まっている。最新曲を一気に流し込み、聞こえてくる音をどうにか無視しようとしていると。
肩をポンポンと叩かれた。
「よっす。あんまり音楽にうつつ抜かしてたら、耳が悪くなるぞ」
「わっ。なんだ、相田かよ」
「なんだとはなんだ。なんだとは」
俺が背中を丸めて猫背でも、隣の高身長イケメンくんにはなんの反応もない。
『相田くん今日も格好いい』
『なんで相田くんと早川が仲良いのか訳わからん』
『イケメン陽キャとフツメン陰キャのカプか。王道だな』
女子からのやっかみが流れ込んできて、余計に気鬱になる……あとナマモノをカップリングにするのはよくないと思います。はい。
俺は肩を竦めながら、相田を見る。
「で、今日はどこの部活の助っ人に行ってたんだよ?」
「今日はサッカー部な。食中毒のせいで、部員足りないらしくってさあ。早川も行かないか?」
『今日はサッカー部な。食中毒のせいで、部員足りないらしくってさあ。早川も行かないか?』
「お前な……俺が運動神経ないのわかってて言うのかね」
「楽しいと思ったんだけどなあ」
『楽しいと思ったんだけどなあ』
俺は相変わらずあまりにも裏表のない相田の言葉に、少しだけほっとした。よくも悪くもこいつとは小学校の頃からの付き合いだけれど、今でもそこそも話せるのは、こいつがあまりにも裏表がないから、一緒にいてて楽な相手だからだ。
俺が人の心の声が聞こえると気付いたのは、小学校からだった。
人の心の声が一気に流れ込んでくると、それはそれはしんどくって、初めて聞こえるようになったときは、そのしんどさに三日三晩寝込んでしまった。
そして人の言っている声と聞こえてくる声……建前と本音が必ずしも一致しないと知ったのも、この頃だった。世の中綺麗事が好きな年頃に、真実を教えるもんじゃないと思う。
女子は幼少期から物の見事に本音と建前が一致しないということを知り、俺は女子が怖くなった。よくも悪くも心の声が聞こえるせいで、あまりにも暴言ばかり吐いているクラスのリーダー格には極力近付かなくなったし、あまりにも心の声がきつ過ぎる人間とも距離を置くようになった。
先生の声を聞けばテストの答案が上がるかもしれない。なんとか自分の心の声が聞こえる力を駆使して成績を上げようと思った頃も一時期はあったものの。
『なにかあったら学校に苦情は来るし、親から苦情は来るし、若いから大丈夫とへりくつ言って仕事押しつけられるし、私はどうして教師になったんだろう。一時間でも早く帰って睡眠時間増やしたい』
……あまりにも闇色に染まった心の声は聞くもんじゃないと思い、できる限り先生の声が聞こえないように気を遣い、なるべく先生に「ありがとうございます」と挨拶を心掛けるようになった。
こうして俺は、メキメキと陰キャ力を上げていき、見事なまでにオタクへとなっていった。
だって、アニメやマンガ、ソシャゲは心の声が聞こえないし。本音と建前にギャップがあり過ぎて幻滅することだってないし。なによりもオタクは自分にハマッているものに夢中になって、他人に対する悪口を言っている暇はないし。
そんな厄介な性格になったものだから、周りも「変な奴」認定して、俺に距離を置くようになっていったもんだ。
相田みたいに近くにいても、他人に対する悪口を言わないいい奴っていうのは、限られているんだ。
俺がチラッと女子を見ると、途端に女子は相田に視線を向ける。女子が俺を敵視するのは他でもない。相田がいつまで経っても誰とも付き合わないから、俺のせいにされているんだろう。
「つうかなあ、お前は誰かと付き合わない訳? 俺、お前が誰とも付き合わないのは俺のせいだと思われるの、ものすごく嫌なんですけど」
「そうか? 俺は早川といると楽だし、誰とも付き合う気はないけどなあ」
『誰かを選んだら、選ばれなかった子たちが喧嘩して、最悪選んだ子を傷付けるかもしれない。そんな責任を取れないようなことは、俺にはできない』
こいつ、本当に天は二物も三物も与えるよなあ……! 聖人かよ!
俺が勝手に感動して打ち震えていると、相田はにこやかに言った。
「というか、そういう早川は? 好きな子とかいないのか? お前部活に入ったし、付き合いだってあるだろ?」
『早川はいい奴だし、それがわかる女子がいたらいいのにな。なんでこいつがいい奴だと気付かないんだろうな、女子は』
「ははははは……そんな天使みたいな女子はいやしません」
そりゃこれだけ善人が過ぎる相田みたいな女子がいたらいいけれど、大概はなあ。
俺は女子の心の声が、チクチク突き刺さっていた。
『なんなの早川、相田くんに対してぞんざいな扱いしてさ』
『相田くんが付き合わないの、どう考えても早川に気を遣ってでしょ』
『このふたりのカップリングでシチュはどこがいいか……さすがに学園ものだとまんま過ぎて肖像権で訴えられるかもしれないから、世界観構築からスタートしないと』
俺、相田が誰とも付き合わないのになんも悪くないのに、すげえ言いがかり付けられてない!? あと誰だよ、俺たちで勝手に創作スタートさせようとしているのは!?
そんな訳で、俺は女子怖い、人間怖いが先に立ち、誰とも特に付き合いたいというのはなかった。どんなに可愛くても、これだけ心の声が怖かったら、誰とも付き合いたくないと思っても仕方ないだろ。
****
「今日のガチャ星5は当てる!」
『推しガチャキタァァァァ! これは当てる、マジ当てる、唸れ貯まりに貯まったコインー!!』
「いやぁ、やっぱり最推しのガチャはいいっすなあ!」
『今回のイベントとガチャは推し連チャンでなくってマジ助かった。これでイベントに集中できる』
文芸部は、文芸とは名ばかりのオタクのたまり場で、文化祭用の原稿さえ期限内に完成させれば、ソシャゲをしてようが絵を描いてようが小説を読んでいようが自由という、オタクの無法地帯と化していた。
正直オタクのなにが助かるかというと、好きなもの一辺倒になってくれているおかげで、心の声が聞こえても大概は推しキャラに対する愛情で埋まっていて、こちらが気鬱になるような他人に対する悪口が聞こえないというところだ。まあ、たまに運動部の花形に対する強烈な嫉妬が聞こえることはあるけれど、気にするほどでもない。
俺もソシャゲを適当に走る。自分も三つほど掛け持ちでやっているとは言えど、今は特に推しが活躍する期間でもないから、小遣いと相談しながら微課金で楽しんでいる……さすがに無課金でイキり散らすというのは筋違いだと思うから、程々が肝心だ。程々。
俺がぼんやりと机にもたれかかりながらスマホを触っていると。
『スタスタスタスタ』
何故が擬音が聞こえる。なんで。
俺は少しだけ驚いて、擬音を発している方向に視線を向けた。
ショートカットボブで、真新しいセーラー服がきらめいている。大きな猫目は睫毛で縁取られ、肌は真っ白で透き通っているように見える……はっきり言って、滅茶苦茶可愛い子だった。こんな子、うちの部にいたっけか。
隣で推しイベを必死で周回している奴に聞いた。
「あのさ、あの子誰?」
「へえ? C組の白石さんのことか?」
『C組は特進クラスだし、そんな賢い子がうちの部に入ってくれたのはマジ感謝っすなあ。眼福眼福』
『イエス美少女ノータッチ。可愛い子は愛でよ……マイナスイオン様にしゃべりかける勇気もないし』
「なるほど」
オタクの純朴過ぎる声に納得しつつ、俺は白石さんを眺めていた。
白石さんはスケッチブックを広げると、それに絵を描いていた。
『サラサラサラサラ』
だから、なんで擬音を心の中で言ってるの。
彼女はツンとした真剣な目で、賢明に鉛筆を動かしている。なにを描いているんだろうと、俺は少しだけ気になって、部室に使っているうちの教室のロッカーに荷物を取りに行くてらいで彼女のスケッチブックをちらりと見た。
……ものすごくメルヘンな絵柄で、今俺たちがプレイしているソシャゲのキャラの絵を描いていた。
『可愛い』
うん、たしかに可愛い。
俺はうろたえながら、白石さんを見た。白石さんはキョトンとした顔で、こちらを見た。
「なに?」
『なに?』
珍しく本音と建前が一致している子だ。そう思いながら、俺はスマホを手に取ってみた。
「白石さんもやってるの? ソシャゲ」
「わたし、ソシャゲってあんまり詳しくないけど。皆が見てる絵が可愛かったから、部誌に描きたくって練習してた」
『ソシャゲ詳しくないから、やってみたいけどどうすればいいのかわかんない』
「あ、もしよかったらやってみる?」
俺がそう声をかけると、白石さんはパァーっと頬を紅潮させて頷いた。
「うん。ありがとう」
『うん。ありがとう』
本音と建前の一致具合に噴き出しながら、俺はインストールからゲームの説明までをしてみせた。部内の皆は、驚いた顔で俺を見ていた。
「マイナスイオン様と、話をしてる……だと?」
「あれだけ冷たい声で?」
……たしかに、俺は白石さんの心の声がわかるからいいけど。
白石さんの声も態度も、全体的に淡泊が過ぎるのだ。冷たいとかクールとかに取られがちな。嘘は全く言ってないのになあ。