それから程なくして記者会見をする運びとなった。

「お忙しい中、お集まり頂きまして誠にありがとうございます、先日発表致しました雨宮 雫さんとの婚約ですが、無事に入籍致しました事をここにご報告致します、また彼女のお腹のなかの子供も順調に育っています、ただ訂正させて頂きたい事があります、
実は子供は自分の子だとご報告致しましたが、彼女と知り合った時には既にお腹に命が宿っておりました、子供ごと彼女を愛する決心をいたしましたので、あのようなご報告になりましたことを謝罪させて頂きます、申し訳ありませんでした」

「あの、やはり藤ケ谷不動産の藤ケ谷琉社長のお子さんですか、藤ケ谷社長とは話し合いは済んでいるのでしょうか」

「これからきちんと話し合いの場を設けて、進めていく所存です」

「跡取りの件はやはりご自分のお子さんにと思っていますよね、その辺の事をお聞かせ願えますか?」

彼は一呼吸おき、話を始めた。
「この子以外に子供は作りません、いや正確には作れないんです」

会場がざわめき始めた。

「それはどう言う事でしょうか?」

「自分は無精子症です、なので自分の血が繋がった子はこの世に残せません」

記者達は口々にいろいろと発して会場は騒然となった。

「また、彼女も高齢出産のリスクがあり、今回、無事に出産出来ても、二度目は難しいと思います、なのでこの子を大事に二人で育てて行こうと決めました」

「冴木社長、なぜご自分の症状まで公表しようと思われたのですか?」

「ある事無い事書かれたく無かったので、静かに見守って頂きたくお願いします」

記者会見は無事終わり、事なきを得た。