私は峻のマンションへ戻った。
これからやらなければならない事が山積み状態である。
琉にちゃんとわかって貰わなければいけない、私のお腹の中の子供の事、
そして私が愛してるのは峻だと言う事。
そんなことを考えていた私の顔は、眉間にシワがより変な表情になっていたみたいで、
峻が「雫、どうした?」と声をかけてきた。

「眉間にシワが寄ってるぞ」

「えっ?そうですか」

「何か心配事か」

私は一人で考えていてもしょうがないと思い、峻に相談する事にした。

「あのう、琉のマンションを出て来てしまって、このままって訳にはいかないと思うんです、チビちゃんの事もちゃんと了解して貰った方がいいんじゃないかと思うんです」

「そうだな、週刊誌の記者もある事ない事書くからな」

「そうですね」

「先手打つか」

「どうするんですか?」

私は嫌な予感が脳裏を掠めた。

「記者会見開いて、真実を公表する」

「ダメです、そんな事したら峻の立場が・・・」

彼はニッコリ微笑んで、私を抱き寄せた。

「いつもありがとうな、一番に俺の事を考えてくれて、でも大丈夫だ、俺にも雫とチビ助を守らせてくれ」
「いつも守って頂いています、感謝しています、あっ、動いた」

「えっ、何が?」

私は微笑んで彼の手をお腹にあてた。
彼はチビちゃんが動くのを感じて「動いた」と目を丸くして驚いた表情を見せた。

「チビちゃんが峻にありがとうって言ったんですね」

「マジか」

「峻?泣いてるんですか」

「ちげえよ、汗だよ汗、俺目から汗出るんだよ」

彼は本当に優しい人、私とチビちゃんを必要としてくれているなら、その気持ちに答えようと心に決めた。