八月の中旬。そろそろ北海道では夏休みが終わる。完成のお知らせが来たので希くん達の家で予定通り、鑑賞会が開かれる事になった。

 鑑賞する時につまめるクッキーを前日に焼き、当日、約束の時間の十三時まで時間があったから、フライドポテトを朝から揚げた。普段お菓子とか作る事をしないのに、なんだかワクワクして。

 あっちゃんと再会した商店の二階に、希くん達家族が住んでいる。時間になり、私は持っていくものをまとめると自転車で向かった。

 お店の裏側にあるチャイムを押すと、希くん達のお母さんが出迎えてくれた。彼女はとても優しい穏やかな雰囲気だった。

「こんにちは! おじゃまします!」
「こんにちは! 入って入って!」

 ミシミシと音がなる狭めの階段を一段一段そっと上がった。小さい頃よく遊びに行っていたおばあちゃんの家の香りがして、好きな雰囲気。

 部屋に入ると三人がいた。すでに部屋は暗く、撮った映画がプロジェクターですぐに観られるように準備されていた。

「柚葉来た! 早速観よう! おいで!」

 一番映画が観やすそうな映像が流れるスクリーンの正面に、赤い二人がけのローソファーがあり、あっちゃんがいた。私はその隣に座った。

「僕は今まで風景動画しか編集したことなくて、映画とか本とか沢山研究したんだけど、編集きちんと出来ているか分からないけれど……」

 ずっと話の止まらない希くんに、律くんが手に人差し指を当てて「静かに!」と言った。

 持ってきたお菓子を準備するタイミングもなく、すぐに映画が流れた。あとで出せば良いかな。