遥さんが切々と晴に訴える。
将来のことを考えたら、晴は絶対に進学するべきだと。
今のお父さんとの生活は酷いもんだし、三花さんにも迷惑かけてる。このままでいるのは絶対によくない。
自分は晴に何もしてあげられなかったから、せめて今からだけでも親らしいことをさせてほしいって。

ーーーもっともな言い分だ。ホントにそう・・

遥さんの左隣に視線をスライドさせてみれば、三花さんもすっごいマジメな顔して遥さんの話にこくりこくりと頷いている。たいていのことなら晴の味方して好きにさせてくれる三花さんだって今回ばかりは晴の希望である高卒就職&結婚には反対だろう。

私にだってわかる。
遥さんのところに行くことが晴にとっての最良の選択だということは、誰の目にも明らかだもの。こんな素敵なお誘いに乗らないテはない。

だけど。
晴がむこうへ行けば、私たちは終わっちゃうんだろうな・・・・とも、思う。
お金のない私と居候の晴が6年近くも遠恋できるかっていったら、たぶん現実的にはほぼ不可能だ。だって私たち、携帯すら持ってないーーー

横目でそおっと晴の顔を窺い見て、私は静かに腹を括った。