おそらく十数年ぶりの、しかも家族を捨てて家を出て行った母親と、父のもとに取り残されてドン底みたいな生活を送ってる息子の対面である。
ーーー晴が爆発するかもしれない。
私は肝の冷える思いでハラハラと晴を見守った。
ところが。
晴は「なにしに来たの?」なんつって普通に会話をはじめてしまったのだ。
自分をおいて出て行ったお母さんを、晴はちっとも恨んではいないようだった。
性格なんだろうけど、晴は目の前の現実を受け入れて、起こってしまったことに対してあまり文句を言わない。考えてみれば、あんなひどい生活してるってゆーのに、お父さんへの不平不満なんかも、私はほとんど聞いたことがないのだ。
その様子にしばしあっけにとられていた三花さんが、ハッと我に返って晴に居間に入るよう促しはじめた。どうやらお母さんのほうも立ち上がって挨拶をしていたようで、三花さんに「さあさあ、立ち話もナンですから・・」って着席を促されている。
そんなことやってた三花さんは、ふたりを座らせてからやっと私のことを思い出した。「あっ!!」て叫んでひょっこりと廊下へ顔を出す。
「一花ちゃんはどうしよっか。2階にあがっとく?」
もちろんそのつもりだったから。
私は三花さんにうんうんと小さく頷いてから、階段のほうへそおっと身体の向きを変えたのだ。
ーーー晴が爆発するかもしれない。
私は肝の冷える思いでハラハラと晴を見守った。
ところが。
晴は「なにしに来たの?」なんつって普通に会話をはじめてしまったのだ。
自分をおいて出て行ったお母さんを、晴はちっとも恨んではいないようだった。
性格なんだろうけど、晴は目の前の現実を受け入れて、起こってしまったことに対してあまり文句を言わない。考えてみれば、あんなひどい生活してるってゆーのに、お父さんへの不平不満なんかも、私はほとんど聞いたことがないのだ。
その様子にしばしあっけにとられていた三花さんが、ハッと我に返って晴に居間に入るよう促しはじめた。どうやらお母さんのほうも立ち上がって挨拶をしていたようで、三花さんに「さあさあ、立ち話もナンですから・・」って着席を促されている。
そんなことやってた三花さんは、ふたりを座らせてからやっと私のことを思い出した。「あっ!!」て叫んでひょっこりと廊下へ顔を出す。
「一花ちゃんはどうしよっか。2階にあがっとく?」
もちろんそのつもりだったから。
私は三花さんにうんうんと小さく頷いてから、階段のほうへそおっと身体の向きを変えたのだ。