三花さんと晴が連なるようして廊下を歩いてゆき、私はその後ろに続いた。
居間の入り口で晴がぴたりと立ち止まる。少し緊張した顔つきの視線の先には、たぶんお母さんがいる。

「晴、久しぶり・・」

開け放たれた引き戸の向こう側から漏れてきたのは、少し震えた小さな声だった。
大きくなったねって言われて耳たぶを赤くしている晴の横顔をみつめながら、私は居間の中から聞こえてくる柔らかい声に耳をすませた。