「な・・なんでですか?? 私がママの娘だから??」
ポカーンてする私に、ところが堤さんはちょっとあやげな顔をして微笑み返してきた。
「そうだねえ。一花ちゃんが千花ちゃんによく似てるからかな」
「はあ」
「一花ちゃんが千花ちゃんの代わり(・・・)を引き受けてくれたら、一花ちゃんの生活、高校卒業するまでまるごと引き受けてあげようかと思ってた」

脳内の解釈が一気に塗り替わる。

「ーーーそ、それってつまり・・」
「そう。そういうこと」

「!!!」

愛人になれってことか。
ママのかわりに。

ザーッと血の気が引いてく私に堤さんはちょっと困った顔をして笑った。
「そんなに怖がらないで。無駄足だったって言ったでしょ?」
堤さんが校門にもたれてこっちを見てる晴へ視線を送る。
「一花ちゃんの彼氏?」
「はい」
「やっぱりね。じゃあ無理だよね。残念だけど」
「・・・」

それから堤さんは何かあったらいつでも連絡しておいで、と言って携帯の番号が手書きされた名刺を私に握らせた。