堤さんに近況を聞かれて、元気でやってる、大丈夫って伝える。
お金も住むところもなんとかなってる、って。

それよか私は、堤さんがわざわざ何しにやってきたのかが気になっていた。
気がかりはママのこと。
不倫だったし、奥さんにもバレてる。もしかしたら堤さん側のトラブルがまだきれいに解決していないのかもしれない。

「ママのことで奥さんとモメてるんですか?」って聞いてみても、涼しい顔して首を横にふる堤さんに深刻な様子はひとつもない。それどころか。
「違うよ。今日は一花ちゃんのことで来てみたんだけど、無駄足だったかなあ」なんて言って呑気に笑いはじめたり。

私のことってなんだ??・・と眉をしかめる私に堤さんが言う。
「一花ちゃんさえよければ、私が面倒見てあげようかって思ってたんだ」
「面倒・・?? って?」
「一花ちゃんの生活の面倒みてあげるってこと。住むところとお金を提供してあげる、って意味だよ」

そう言われて、私は最初、堤さんが『足長おじさんをやってあげる』って言ってんだと思ってた。
なんつーボランティア精神。お金があるって素晴らしい、って。