「オレさ、大人になったら自分の家持つのが夢なんだ」
「嘘、私も!!」
驚いて目を見張る私の顔を晴が暗がりで手探りする。
「んで、その家で一花と一緒に暮らしたい。オレはそれを目標にする」
「は、晴ぅぅ・・」

どんな家に住みたいのって聞いたら、晴は食器棚のある家って言う。
「オレんちってさあ、食器ってモノがほとんどねーの」
「ああ・・ウン。なんとなく知ってる・・」
だけど、友達の家には当たり前のようにファミリーサイズの大きな食器棚がある。
遊びに行くとそこんちのお母さんがいろんなお皿にお菓子を盛ってふるまってくれるのだが、それはたいていちょっと大ぶりの立派で特別なお皿にもられていたのだと晴は言う。真っ白なお皿や、青い花柄のお皿、キャラクターの絵のついたお皿もあった。
もちろん晴んちに大皿なんてものはない。
大きなお皿に、それを収める食器棚、あと美味しいお菓子。そーゆうの全部ひっくるめて「いいなあ」と思っていたらしい。
「すんげえ羨ましかった。オレ、あれが憧れ・・・・」
夢見るようなウットリとした雰囲気を漂わせて私の頬を撫でる晴。