三花さんの話を聞いて私は愕然とした。
結局何もかも父が悪い。
諸悪の根源は父で、私はそのクズ野郎の娘。
「し、信じられない・・お、おとうさんが、おとうさんがーーー」
ごめんなさい、って私は三花さんに頭をさげた。おでこがちゃぶ台の端にぶつかるまで。

泣きながら顔をあげた私は「殿山に行く」って宣言した。
仕事を探そう。高校なんかさっさとやめて働こう。
それまでの間、ほんの数ヶ月でいい。なんとかして殿山の家においてもらえれば。

と、祈るようにそんなことを考えながらも、面倒ごとを全てパスして悠々と生活してるっぽい父にフツフツと怒りが湧き上がった。
絶っ対に申し訳ないなんて思わない。
今こそ『父』としての責任を果たしてもらおうじゃないか。
認知はしてもらってないけれど、父親であることには変わりないんだから。

「よおっし、クソ親父にハナシつけてやる!!」

勢いに任せてすっくと立ちあがった私の手を晴が大慌てで握りしめる。
そして、怒涛の勢いで殿山行きに反対しはじめたのだ。
「ダメ、絶対!! 父親んとこってオレらと同級の男がいんだろ!? おまえ、そいつと一緒に暮らすの!?」
「仕方ないよ。もうそんなの言ってらんない」
「いーや、ダメ。アブナイって!!!」
血相変えて晴はNOを叫ぶのだが。
「晴とだって最初はそうだったじゃん。ダイジョーブ。間違いなんておこらないよ」
「違う!! 間違いはおこんなかったんじゃなくてオレがおこさなかった(・・・・・・・)の!! オレ、普通の顔して暮らしてたけど、ホントはずーっと一花にドキドキしてたんだぞ」
「そ、そうなんだあ・・ありがと」