そしてしばらくののちーーー

「なんだ、そっか。見られてたのか」

三花さんのお相手は、居酒屋のお客さん。
ふたりはもう2年くらいつきあっていて、最近になって結婚の話が出ていたらしいのだ。だけどそんな時に私が転がり込んでしまった。
後は私たちも聞いた通り。私が無事に高校を卒業するまではと、三花さんが結婚話にストップをかけている、という状態。

ーーー私、とんだお邪魔虫だった。
なのになんにも知らずに呑気にしてて。

あまりの申し訳なさに身体がすくむ。
ちゃぶ台の下で握りしめた手をぶるぶると震わせていると、私の様子に気づいた晴がぎゅうっと手を握ってくれる。三花さんは三花さんで「いーのいーの、気にしないで」なんて、のほほんと笑ってくれて。
そんなふたりに涙がこぼれて止まらなくなった。
ごめんなさいと、ありがとうの気持ちが、胸の中でパンパンにふくらんでゆく。

「おばちゃん、2年たったらオレが一花をもらうから。それまでは一花をここに置いといてよ。お願い」
「いいよ、もちろん」
「んで、さっきの人と結婚もして。一花が気にする」
「あんたねえ・・」