ところが。

「親に追い出されるなんて・・いったい何したらそんなコトになるわけ?」
私がそう尋ねた途端、彼の様子がガラリと変わったのだ。
「ーーーそ、それは・・言いたくない」
佐山くんはプイと顔をそむけると、さささと縁側に移動して私に背を向けた。そのまま動かなくなってしまった彼は、もうけしてこちらを振り向こうとはしない。
よっぽど何か触れられたくない事情があるらしい。

柱時計を見上げるともうすぐ5時。
三花さんがまかないを貰って、ちょこっとだけ帰ってくる時間だ。