「ねえ晴くん、あんた勉強どーなの? ちゃんとついていけてんの??」
つゆに梅干しのたたきをタップリと溶かしつつ、三花さんが晴に話をふる。
「全っ然大丈夫。余裕」
「そんなワケないでしょ! あんた門高ナメてんの!?」

いやいや、三花さん。それがね・・?

本当に大丈夫なのだ。
アホに違いないと思ってた晴は、案外アタマがよかった。
「一花のほうがオレより成績悪いよ、絶対」
「~~~!!!」
ムカつくけどたぶんその通り。私は勉強じゃきっと晴には敵わない。

実は私、人より随分遅れて新学期のスタートを切った晴に先輩風を吹かせて勉強を教えてあげようとしたのだ。
「晴、休んでたとこ教えてあげよっか?」
「おう。ノートみして!」
居間のちゃぶ台にノートを広げて、今どのあたりを習ってるか教えてあげる。
「えーっと、これはねえ・・・・アレ? どうだっけ?」
自分のノートを解読できずにうんうん言ってる私の横で、教科書とノートを照らし合わせてスイスイ勉強を進めていく晴。

「晴ってもしかして賢いの!?」
「一花よりはね。そこ、わかんないなら教えてやろうか?」

ーーーって感じで、私たちは一瞬で立場が逆転してしまったのだ。
晴が留年しないのは当たり前。
どんだけ休んでバイトしよーが、楽々取り返せる。