お昼はついつい流された。
晴の漂わせる甘ったるい雰囲気に飲み込まれて。

「くっそおおお」

ガバッと立ち上がって倉庫の扉をガラガラと内側から閉めると、晴はズボンのポケットに手をつっこんでキャラメルをとりだした。

「一花、あーん!!」

ポイポイっていっぺんにみっつもキャラメルをねじこんだ晴は、私を抱き寄せるといきなり首筋にアタマを埋めてすううっと唇を滑らせたのだ。
「ギャーーー、何すんの、晴のバカっっ!!」
「おまえ、キャラメルみっつも食っただろ! 文句ゆーなよ、対価を支払え!」
慌ててキャラメルを丸呑みした私は、晴を引きはがして訴えたのだ。
「じゃあヤラシクしないで! もっと普通にしてよ!」
だって、今まではこんなふうじゃなかった。もっと穏やかで、あったかくて、親子か兄弟みたいなハグだったじゃないか、って。

「あんなふうにしてよ」
「知らねーな。覚えてない」
「嘘ばっか! あんた私の中に『お母さん』を探してたでしょ!?」
「ーーーはあああ??? 一花にお母さんの要素なんかナイ!! オレは一花が好きなの!!」

私の苦情をバッサリと却下して、晴が今度はシッカリと唇を重ねる。

「!!!」

もう動けなかった。
何度も何度も口づけられて、ぺたんとお尻をついてへたりこんだ私を晴が嬉しそうに抱え直す。

「たしか、一花もオレのこと好きだったよね?」
「いつそんなこと言った!? 貧乏な男はヤだって言った記憶ならあるけど」
「悪かったな、貧乏で!!」
ムッとご機嫌の悪い晴が私の頬を両手で掴んで引き寄せて、これみよがしにちゅ、ってキスしてみせる。

「イヤじゃないくせに」

そうなのだ。
ホントはちっともイヤじゃない。
それどころか、トロけてユルんだ顔してる自覚だって十分にある。

「んじゃ後になって好きって言い出した時はペナルティな! 寿司と焼き肉と中華奢ってもらう」
「えええ」
「んでも今なら許してあげる。謝るなら今のうちだぞ」



「ーーーゴ、ゴメン、晴。大好き・・」