お昼は晴と一緒に屋上でお弁当を食べた。
「うま!!」
って大騒ぎして食べてくれるから作り甲斐がある。

彼女って設定はとっても便利だった。
晴のぶんまでお弁当を作ってきてたって何の違和感もないのだ。わざわざ同じお弁当をふたつ作る必要もない。
「あー楽チン。スゴイな、彼女って」
「オレはこれがホントでもいい。一花の彼氏になってやろーか?」
「貧乏な男はイヤだつったでしょ」
「あっそう」

おなかいっぱいになった晴がごろんと横になって私の膝に頭をのっける。
「なあ、帰ったら釣りしねえ?」
「釣り?? やり方知ってんの? てか道具は?」
「やったことはねーけど、道具はおばちゃんちにある」
晴がハツラツと笑いながら下から見上げてくる。「アジ釣って食おーぜ」って。

「アジが釣れるの!? お刺身食べたい!!」
うんうん、って晴が頷いた。
「オレ、いっぱい釣ってやるからさ。一花捌いてよ」
「いいよ、捌く!」